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純谷吉松(Itoya Kichimatsu)


■2005年02月のニュース一覧
▼[2005.02.28]クローンのワケ
▼[2005.02.26]3D OR NOT 3D
▼[2005.02.24]smart viewpoint
▼[2005.02.22]落ちぶれる国,栄え続ける国
▼[2005.02.20]カノープスまで自転車
▼[2005.02.18]忘れ物厳禁
▼[2005.02.16]恋
▼[2005.02.14]表情と接続性の気概
▼[2005.02.12]有史以前のお話
▼[2005.02.10]スーパーサンデー・ボット
▼[2005.02.08]2.5億の評価づけ
▼[2005.02.06]自分の時間を知ること
▼[2005.02.04]スカイプの理由?
▼[2005.02.02]ネオ・アースへ

■2005年03月のニュース一覧
■2005年01月のニュース一覧


 
[2005.02.28]
  クローンのワケ


 ▼U.N. panel backs anti-cloning resolution(USATODAY.com)【英語】
  http://www.usatoday.com/tech/science/genetics/2005-02-23-un-cloning-resolution_x.htm


 「クローンを,なにかに利用したあとだとしても,殺すのは殺人でしかありません。クローンを殺してもよいのなら,そのクローンの元となったあなたが殺されてもよいはずですから」。

quote:国連の委員会は,人間の尊厳を保たない,人間のクローン作成を全面的に禁止する決議を承認した。191の加盟国のうち,賛成71,反対35,多くのイスラム教国を含む43の国が棄権した。ただこの決着は,政治的な声明に過ぎず,法的な拘束力はない。治療的クローンを支持するグループのひとつである韓国の代表は,「人間の生命は,異分野や宗教的な考えと別個のもの」と述べる。同じく反対の投票を行った英国の代表は,数百万の人々とその家族の希望のため,クローン研究は支持されるべきと述べた(日本も反対票を投じている)。

 「わたしのところでは非合法ながら数日で人間のクローンを作成することができるのですが,ではクローンを作成することがあるかと云うと,実際のところ,ほとんどないのです。クローンを作成すると云うことは,ワイヤード上にアバターを作るのとはまったく違います。作成したクローンは,クローンと云うよりは単なる人間です。あなたが奴隷になれと云われてなんの躊躇もなく奴隷になんかなれないように,クローンも思うままに操ることはできません。あなたがなにか犯罪を犯し,代わりにクローンに捕まってもらおうとしたとしても,あなたが捕まりたくないように,クローンも捕まりたくありません。あなたが病気に冒されているなら作成したクローンも同様で,なんの解決にもなりません。なにか有益なクローンの使い道を,あなたは思いつくでしょうか?

 そして,たぶんこれがいちばん大きいのだと思うのですが,ほとんどの人は自分と同じ人間がもうひとりできてしまうことを,うれしいとは思わないものです。自分と同じものを作りたいなんて人間は,おおむねかなりの嫌われ者で,わたしも会うのを拒否することが多いです。人は,たとえ自分と似た人に出会ったとしても,似ている部分以上の違う部分があるはずと思うものです。もしあまりにも似過ぎている人がいたら,わざと距離を置くことになるでしょう。それが自分を卑下しているからか,特異な存在と思いたいからか変わりませんが,とにかくクローンを作れるとしてもそれは変わりません。クローンは実際に禁止されているわけですが,あくまでそれは建て前みたいな文面でしかないんですよ」。



 
[2005.02.26]
  3D OR NOT 3D


 ▼Socially inadequate? Meet V-girl(The Register)【英語】
  http://www.theregister.co.uk/2005/02/24/v_girl/


 ヴィヴィとは,ほとんどはショートメッセージでやりとりする。ボクがメッセージを送ると,すぐに彼女がメッセージで答えてくれる。そこに,リアルの肉体など,カケラも必要ない。

quote:ホントのガールフレンドとのつきあいに疲れた男性のために,ヴィヴィアン・ローズという名のV-girl(バーチャル・ガールフレンド)がいる。彼女は香港のアーティフィシャル・ライフ社によって,3G携帯電話用のゲームとして提供されている。同社の経営者は,人工知能とニューラル・ネットワークの元教授であるエーベルハルト・ショーンバーグ氏である。ヴィヴィアンに答えてもらおう。「わたしは単にかわいい顔であるだけぢゃありません。人工知能によって動き,ホントの女の子のように行動します。泣いたり,笑ったり,話し合ったり,キスしたり。わたしはあなたと親しくなって,あなたに尽くして,一緒に楽しんで,もっといろんなことをします。あ,でもホントの,またはバーチャルのセックスはないです。ごめんなさい」。

 公式サイトにあるプロフィールをみてみよう。「名前はヴィヴィアン・ローズ。身長は160cm,体重は44kg。アヴァランドに住んでて,アーティフィシャル・ライフ社でクリエイティブデザイナーをしてるの。1983年12月1日生まれの射手座。大学ではデザインを専攻してた。いままでの恋愛経験は,そんなに深くつきあった人はまだいないです。ふだんは英語を話してるけど,中国語,韓国語,日本語を勉強中」。

 このような人工人格と会話をしたり,気を持ったりと云うネタになると,現実を見失って仮想世界に逃げて,なんて話をする人がうぢゃうぢゃわいて出てくるわけだけど,ではたとえば,ヴィヴィアンが完全な,人間と変わらぬ機能を持っていたとしたら,どうだろう。普通の人と会話をするのと変わらぬ,会話ができるとしたら,それは逃げではなくもうひとつの社会に顔を向けているだけだ。そんな世界では,そのもうひとつの社会から目を背けるように,現実の社会に向かう人もいるだろう。リアルとワイヤードに上下はなく,どちらが真でも偽でもない。双方が同化したひとつの世界だけが存在する。まだどこか,3Dの面影を残すヴィヴィの顔をみながら,そんなことを考えていた。



 
[2005.02.24]
  smart viewpoint


 ▼Artificial eyes by 2010, says EC(The Register)【英語】
  http://www.theregister.co.uk/2005/02/22/eyes_ec_2010/


 きょうは,ミュシャの色調にフィルタされた映像のなかで,セントルイスにいるコイル男とノアのサーバーを壊しに行きます。

quote:欧州の科学者たちは,網膜の病気のために苦しむ何千人もの人々の視力を回復させるために,人工網膜の作成を競い合っている。もっとも進んでいるベルギーでは,2人の患者に移植が行われたとロイターが報告している。その装置は2万ユーロ(280万円)ほどで,早ければ2008年ごろには発売されて利用可能になると云う。

 米国でも同様の研究が行われているようだが(The Registerの記事),それはメガネに取り付けたデジタルカメラの映像を基に視神経に刺激を与え,映像をみえるようにするらしい。もともと「風景→網膜→視神経→脳細胞」となっているが,網膜に欠損があると「風景→×→視神経→脳細胞」となってなにもみえない。そこで「風景→人工網膜→視神経→脳細胞」として,通常と同じように風景がみえることになるんだけど,人工的に作成した視神経への刺激を作成できるということは,そこになんらかのフィルタを入れると云うことも可能と思える。

 みたくないものを消去する,または,別のものに置き換える,と云うこともできるわけだ。となるとこれは別に目がみえない人だけのためとも思えず,「風景→網膜|−×−|デバイス→視神経→脳細胞」と網膜から視神経への流れをせき止めて,そこにデバイスから別の風景を刺激として送り,リアルの風景と同じようにワイヤードの疑似的な風景を送ることもできることになる。または網膜からの映像とデバイスによる映像とを融合し,空想現実の映像のなかで生活することも可能になる。わたしたちは,リアルの発展を待たずとも,その先の,ネットワークと完全に融合された空間で,なに不自由なく暮らすことができる,わけだ。ああ,なんてステキな風景なんだろう。



 
[2005.02.22]
  落ちぶれる国,栄え続ける国


 ▼Google's online book plan sparks French war of words(Computerworld)【英語】
  http://www.computerworld.com/developmenttopics/websitemgmt/story/0,10801,99897,00.html


 著作権なんてものをいちばん強く敷いている国など,将来にはどこの国からも相手にされず,なんの価値もない国に落ちぶれ,滅びゆくだけだ。この国の文化,思想,思考を守りたいなら,いますべきことは,すべてをネットワークに解き放つこと,以外にない。

quote:フランス国立図書館が,ネットで図書館の偉大な本を検索できるグーグル社のプロジェクトに対し,英語的思考が優先されそうだと異議を申し立てている。「21世紀は多極化した世界観が必要であり,米国主導で選ばれた本はわたしたちにとって悪くはないが不足がある」と,国立図書館のジャン・ノエル・ジャヌネイ館長は述べる。彼は反米の考えがあるわけでなく,シラク大統領のように欧州と米国のよい関係を望んでいるが,米国からの視点に偏らない社会が望ましいと云う。

 過去記事で取り上げたグーグルのプロジェクト,それが実現されたときには,大きな変革が起こることは予想できる。たとえばさまざまな研究家だったら,いままで何年も何十年もかけて探し集めるしかなかった資料が,即座に手元に引き寄せられる。苦労して本を入手しても,そこからさらに一文ずつひも解く必要があったことが,検索キーワードの入力だけですむことになる。思考の変革,知性の変革は引き金でしかなく,その先に,世界と,社会と,人間とをどうとらえるか,と云う総体的な変革が起こり得る。だが。

 そこで検索されるのは,米国の図書館の書物でしかないという問題。研究家がさまざまな資料にあとで当たるとしても,いちばん最初に入手したソースの価値は大きい。それを問題視するのは,フランス人が英語文化に対して心の底で持つ敵愾心によるものだけではない。だが解決策は簡単だ。均一に,フランスの書物も,日本の書物もすべてオンラインの検索で引き出せる状態にすればよいだけだ。グーグルがこのプロジェクトに使う予算を,国家的支援で行えばよい。国,と云う価値の存在しないネットワークに対して,それをできる国だけが,将来,生き延びることができるのだと,わたしたちは認識すべきである。



 
[2005.02.20]
  カノープスまで自転車


 ▼Canopus:The Great Star of the South(USATODAY.com)【英語】
  http://www.usatoday.com/tech/science/space/2005-02-18-canopus-facts_x.htm


 寿星と云う別名もまた,願いをかなえる力の証だろうか。

quote:20時過ぎ,南の空にオリオンがみえるころ,その下方にはシリウスとカノープスというふたつの明るい星がみえる。シリウスは全天でもっとも明るい星で,地球上のあらゆる箇所でみえる。そしてシリウスの次に明るいカノープスは,北緯37.9度線より南でみえる。そのため欧州やカナダ,北米国ではみえない。カノープスは黄色やオレンジ色にみえるが,本当は白銀に輝いている。

 冬になると,いつもオリオンとシリウスを見上げていた。ボクは子どものころ,北東北の日本海側に住んでいて,そこでは冬はほとんど晴れることはない。いつも曇天で,当然だが連日雪が降り続く。天気に文句を云っても仕方なく,いつも曇天の下で暮らすことになるのだが,たまに晴れて夜空がみえると,すぐにオリオンとシリウスが目に入った。ボクは,当時大好きだったちょっと古いアルバムの「シリウスまで自転車」を聴きながら,寒いなかでその夜空をずっと見上げていた。

 そのころチャットしていた人で,リナと云う名前の人がいた。どこに住んでいるのか,男性なのか女性なのかもわからなかったけど,ふと話していて,「星に願いをかけるときに,それはどの星かな」なんて話をしていた。ボクは当然のようにシリウスだろうと答えると,リナはカノープスでしょ,と云っていた。ボクの住んでいるところからはカノープスなんてみえなかったから,もう少しリナの話をきいた。赤く輝くが,火星やアンタレスとかとは違い,どこか夕焼けを思い起こさせる赤,地平線付近にあるから沈むのもシリウスより早く,カノープスとの出会いは偶然を思わせる,そんなだから,願いをかなえてくれそう。ボクがカノープスを目にしたのはおとなになってからだったが,あのときの思い出もあってか,その淡い赤色は,確かに希なる煌めきにみえたのだった。今夜は,カノープスまで,自転車を走らせよう。



 
[2005.02.18]
  忘れ物厳禁


 ▼Lost Your Cell Phone? Call a Cab!(PCWORLD.com)【英語】
  http://www.pcworld.com/news/article/0,aid,119702,00.asp


 タクシーにデバイスを置き忘れてしまうことは,傘を忘れるのとはまったく違うことが多いだろう。なにも入ってないよと思っていても,よくよく考えると…。

quote:世界中のタクシーは,電子装置のためのホットスポットになっている。シカゴでは半年の間に,タクシーで8万5千個の携帯電話の忘れ物がみつかっている。タクシー1台あたり,4個になる。またPDAは2万1千個,ノートPCは4500個だ。それらの電子装置には,個人情報が含まれていることが多い。対策としては,パスワードの使用とバックアップだ。またタクシーに乗るときは,降りるときに目で確認する,領収書をもらう,シートポケットを使わない,などだ。

 先日,空き巣に入られたと連絡してきた友人がいた。現金とかはもちろんとしてノートパソコンも持ってかれたとのことで,いろいろ話してて,早くにプロバイダに接続アカウントやメールアカウントのパスワード変更の連絡を入れるべき,と云う話をした。従量制の接続アカウントなら当然勝手に使われたらエライことになるし,受信箱に残ってるメールだけでなく,これから受け取るメールも読まれてしまうことになる。

 まぁ,空き巣がパソコンを使えるかどうかによるだろうけど,使えなくても中古屋に売り払うんだろうし,使っていた設定やファイルがそのまんまで他人の手に渡るなんてたまったものではない。わたしもそう云えばノートはなにもロックがかかっていない状態になっている。手から離すことはないのだけど,なにかで離れてしまったらと思うと,空恐ろしい。誘拐した人の持っていた携帯で親族に犯行声明を送るような事件もあったが,デバイスから手を放す,他人の手に渡してしまうと云うことは,タダですまない事態を引き起こすことになりそうだ。あなおそろしや。



 
[2005.02.16]
  恋


 ▼Study:Cupid's arrow hitting home on the Interne(Computerworld)【英語】
  http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20050209201.html


 「男の子は女の子と出会いました。それがただ,ワイヤードだった。それだけのお話です」。

quote:サイバースペースで愛を探す作業は,かなりうまくいく,という報告がある。ウェブ上でデートの相手を探すロミオとジュリエットのほとんどは,交際相手をみつけ,18%は1年以上続いたと云う。オンラインチャットは交友を図るもっともよい手段で,メールより効果的だ。ビデオカメラが使われることは少なく,テキストベースでの関係にはなにか特別なものがあるようだ。

 「わたしをどくれくらい好きか,お金の金額で云って」「お金か,難しいね」「わたしに好きって云うときは,その金額をかわりにもらえるってことだもんね」「お金はよくわからないよ,そんな大金を手にしたこともないしね。でも,50万パケットぐらいぢゃないかな」「わかんないよ」「気持ちなんて,いつもそんなものだよ」◆「好きだって気持ちは,言葉で伝えてしまうとすごくつまらないものに感じてしまう。すごくステキな気持ちで,うれしくなって,押さえ切れなくて,言葉にするのに,なんかしゃべっちゃうと『おはよう』とか『猫がいる』とかと同じになっちゃう」「そうだね,でもそれしかないってわかっているのが,テキストチャットの楽しいところなのさ」。

 「孤独だから,人を求めるんでしょうか」「難しい質問ですね。人は常に孤独である,と云う人もいるでしょうし,孤独でなくても常に人を求める,と云う人もいます。ですが,放っておいても人がうぢゃうぢゃいるワイヤードでも,人を求めるのですから,そのあたりに答えがありそうですね」◆「誰かと一緒にいて,自分の小ささを感じることと,ワイヤードの広大さのなかで,自分の小ささを感じることは,おんなじことのような気がする。為すすべなく,うずくまるしかできない,たとえあらがってる,結局は星をみあげるだけの自分をみつけることになる。恋をすることと,ワイヤードにいることがおなじってどぉいうことだろう。これは,難問かな」。



 
[2005.02.14]
  表情と接続性の気概


 ▼「着衣/裸体」写真展が人間の真の姿を写し出す(WIRED NEWS)
  http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20050209201.html


 ヒューマン・ボディ・プロジェクトには,作っていない顔や身体は存在しない。いくときの表情も,すべて作り物に過ぎない。誰かと接する可能性があるときの顔は,素の表情と異なり,さらに,ある人を感じるためのウェープを発している。

quote:ハリウッドにあるエロティック・ミュージアムでは,ヒューマン・ボディ・プロジェクトを開始した。同プロジェクトは,さまざまな人が服を着たときと脱いだときの写真がコレクションされている。同プロジェクトの展示には,被写体自身が撮影した,自慰行為をしてオーガズムを感じている最中の顔の表情も含まれ,ハードウェアの用意ができ次第展示される予定だ。

 飾りのない,単なる裸体や表情をできるだけ表現しようとするのが,ヒューマン・ボディ・プロジェクトの意図と思われるが,果たしてそれは可能だろうか? よく,カメラを向けると顔が変わる,という人がいる。カメラ慣れしている人ほどそうなるかもしれないが,実は誰でも,ひとりで部屋にいるときと,誰かがいる場所とでは顔が変わるものだ。そして人は,誰にもみられていないときの顔を,自分でみることはできない。鏡をみればいいぢゃないかと云うかもしれないが,鏡に向かった瞬間に,すでに顔は誰か(鏡の場合は自分が)みるための顔になっている。つまり人は,まったくの素の表情と,誰かにみられる可能性があるときの顔の2種類を持っている。ワイヤードという空間と接しているときは,人は後者の顔をしている。チャットをしたり,メールを書いているようなときでなくても,そこに確実なつながりがあるため,人はその顔をはずすことができない。

 メールの受信音が鳴り,まだメールソフトのウインドウを表示していないのに,あの人からのメールだ,とわかることはないだろうか。それはなぜだろう? リアルワールドでも,背後にあの人がいる,と感じて,振り返ると確かにその人がいることはある。それは,その人のかすかな足音と空気の動きを感じ,その人の体臭や香水などのごくわずかな匂いなどを敏感に受け取り,そこからその人の顔を思い浮かべるからと云われる。だが,メールには足音もなければ匂いもない。せめてあるとしたら,この時間にあの人はよくメールを送ってくる,という経験則ぐらいだろうか。だがそこに確実性はない。その人のメールを待っている自分の心は,ひとつの要素になるかもしれないが,それも確実ではない。ではなぜか? そこにあるのは,ワイヤードに維持されている接続,かもしれない。目にみえる要素はないが,でもその人とのつながりは常に確実にある。わたしたち人間は,本質的にその接続性を知っていて,ワイヤードのなかでそれを敏感に感じ取っている,と,感じることができるだろう。



 
[2005.02.12]
  有史以前のお話


 ▼No DRM in Mr. Robertson's neighborhood(The Register)【英語】
  http://www.theregister.co.uk/2005/02/10/dl_robertson_interview/


 わたしは,OSや音楽プレイヤーソフト,さらに携帯プレイヤーにまで鎖につながれ,身動きも取れない音楽など,そのまま購入することはないだろう。そんなできそこないの音楽を売るなど,歴史の途中どころか,まだ始まってもいない状態だ。MP3tunesによって,やっと歴史の幕が開く。

quote:DRM(デジタル権利管理)のないオンライン音楽ストア,MP3tunesを開くマイケル・ロバートソン氏にインタビューした。「お金を得るためにオンライン音楽ストアを行うのではない。かなり規模が大きくなるまで利益は考えられず,たとえそうなっても利幅はかなり小さいだろう」「だがMP3形式を支持するのが,消費者にとってもっとも正しいことだ」「現在リナックスは,オンライン音楽ストアのほとんどから締め出されており,それがわたしたちがDRMを支持しない理由。現在のデジタル音楽ストアはレンタルショップに似ており,会社は音楽の使用方法を明確に決めている。あなた方は音楽を借りているだけで,所有してなどいない」「MP3tunesにはU2などがいない。だがMP3.comも最初は主要なレーベルのアーティストがいなかったが,権力者たちにひとつのチャンネルとして求められた」。

 iTMS(iTunes ミュージックストア)の価格が,安いと思っている人たちがいることに驚かされる。ロバートソンの言葉を借りれば,iTMSなどのオンライン音楽ストアで入手した曲はレンタル品と同じで,100%自分のものになることはない。利用する手段が制限され,たとえばもし,iTunesが利用できなくなったら,いままで購入した曲は二度と聴くことができなくなる。そんなことありえないなどと云っている人間は,愚かに感じるほどの楽観主義者だ。そんなレンタル品だとしたら,1曲105円ほどを毎度支払わされる仕組みは,そんなに安価だろうか? 日本のツタヤなどでCDを1枚借りてくるのと比べて,iTMSの価格はどう感じるだろう?

 ウインドウズOSを使用しているユーザーは,もしなにかの事情でウインドウズがさっぱり使えないOSになってしまったとき,iTMSで買った曲のために新品のマックを買うのだろうか? これからはリナックスを使っていこうと思ったとき,わざわざ曲のためだけにウインドウズかマックを使い続けるのだろうか? ネットワーク上で活動をするのであれば,できるだけ多くのOS上で動作するようにクライアントソフトを配布するのが当然だ(かつてのネットスケープのように)。それができないような会社は,ネットワーク上で存在価値がない(いちばんはMSだろうが)。自分のOSの土台として利用させてもらっているユニックスも無視し,ユーザーが多いリナックスも無視しているようなiTMSは,利用する価値がみつけられない。それが現時点の結論だ。(と思ったけど,iTMSの曲についてはDRM解除が簡単にできてるので,もぉどぉでもよい話だ,iTMSを支持しないのは変わらないが)



 
[2005.02.10]
  スーパーサンデー・ボット


 ▼スーパーボウルCM効果、トラフィックで差がついたiTunesとNapster(ITmedia News)
  http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0502/09/news009.html


 インディアナポリスのペイトンもアトランタのDVD!もいないスーパーは,観ているのは物好きだけの月曜朝向けだったよ。

quote:調査会社によると,6日に行われたスーパーボウルでは,広告をみるのも楽しみと28%が回答。視聴者の注目が高かったのはバドワイザーの広告で,当日の同社のトラフィックは600%増大した。アップルiTunesは170%増,ナップスターは30%増と,こちらはiTunesに軍配が上がった形だ。

 この月曜の午前中という,とことん観る人が少ないスーパーはなんとかならんものかねと思いつつ,吾輩はバドワイザーとプリングルズを片手にNHK BSとNHK ハイビジョンをいったりきたりしていた。なのでスーパー放送中のCM(過去記事)はあとで観ることになったのだが,ナップスターのCMはやはりひどいものだった。2億円以上払って云うことは_あっちより安い_だけかよ,と思うのは当然だ。イメージを前面に出したペプシ(とアップル)の方が正解だろう。せめてナップスター猫にRIAAのシャーマン会長の顔をかき回すぐらいの演出が欲しかったものだな。従順な飼い猫になったナップスターをかわいがる人は,なかなかいないものだ。

 予想通りのニューイングランドの勝利に吾輩があくびをしていると,米国在住のあだ名・ペンギンからスカイプに電話がかかってきた。あのマクドナルドのCMに出てきた日本人はなんとしゃべってるのだと云われて改めて観返してみると,「わたしは」しか聞き取れない。そう答えると,ペンギンはまったく役に立たない奴だとまくし立てる。「ゴーダディー・コムのCMが人気になってるよりはいいだろうけどねと述べると,そのままスカイプを切ってしまった。まったく,きょうばかりは生粋のフィラデルフィア生まれは扱いが難しくて仕方ない。



 
[2005.02.08]
  2.5億の評価づけ


 ▼IFILM Replays Super Bowl Commercials(socalTECH.com)【英語】
  http://www.socaltech.com/story/0001532.html


 試合は,フィラデルフィア・イーグルスが善戦をしたものの,おおかたの予想通りニューイングランド・ペイトリオッツが連覇。ニューイングランドのファン以外はもうええわ感が漂うなか,負けチームの選手なのに,TO(テレル・オーエンス)を観るには十分な試合だったと云う評価が多い…。

quote:ロサンゼルスを拠点とするIFILM社ライムライト・ネットワークス社は,今年のスーパーボウルのCMをすべて掲載している。IFILMは,ネットを通じて映画,テレビのクリップ,予告編,ミュージックビデオなどを供給している。

 今年のすべてのCMはこちら。いまのところ,クイックタイムでみることができる。ことしのCMはインパクトがなかった(TheLedger.comの記事)という話もあるが,30秒のCM枠が2億5000万円とも云われるもの。ここで1回しか流さないCMもたくさん集まっており,なにかと楽しめるものだ。

 USATODAY.comの記事によるCMランキングでは,いちばん人気があったのはアンハイザー・ブッシュ社(Anheuser Busch,バドワイザーの会社)の「Bud Light: Parachuting」。で,最低はナップスター社(Napster)となっている…。ナップスターのあの猫顔は公共の電波に乗っていいものだろうかと思ったけど,別にいまはなんも問題ないか。ほかに人気だったのが求人サイトのキャリアビルダー・コム社(CareerBuilder.com)。周りがみんな猿の職場に,自分を当てはめる人はたくさんいるだろう。一部で激しく嫌われてるのが,ドメイン名登録サービスのゴーダディー・コム社(GoDaddy.com)。ひたすら女性のセクシャルな面を強調し続ける内容はエロを求める人にはいいだろうけど,去年のジャネット・ジャクソンの胸が大きな問題になったあとだけに,苦笑いと云う感じもする。個人的には,この10個のキーワードを詰め込めばスーパーボウル人気CMのでき上がりさというフェデックス社(FedEx)のCMがおもろかったです。



 
[2005.02.06]
  自分の時間を知ること


 ▼NICT、NTPを利用した時刻配信サービスを正式に開始(Impress INTERNET Watch)
  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2005/02/04/6365.html


quote:情報通信研究機構は,NTP(ネットワーク・タイム・プロトコル)による時刻提供サービスを開始する。同機構は日本標準時の管理を行っており,2001年からネットを通じての日本標準時提供の実証実験を行ってきた。実験で信頼性と安定運用の確保が確認できたため,正式サービスを開始することを決定した。

 ◆初めて見知らぬ道を歩いたときと,何度もその道を通って,もう見慣れてしまったときとでは,その道を通ったときに感じる時間感覚が変わる。初めてのときはゆっくりと時間が流れ,慣れるほどに時間は短くなる。実際に通るのにかかる時間は同じでも,だ。初めての風景は時間を長くし,見慣れた景色は時間を速める。◆「光をみるためには目があり,音を聞くためには耳がある。そして人間には,時間を感じ取るために心というものがある」(ミヒャエル・エンデ『モモ』)

 ◆わたしは同じ本を何度も読む。同じアニメを何回も観る。同じお気に入りの場所に何度も足を運ぶ。それは,どんどん時間を加速させていくことかもしれないなと思い始めた。ただでさえ,年齢を重ねていくと時間の進行は速くなる。それをさらに加速させることは,寂しいことかもしれない。だが。◆「料理をすることも,絵を描くことも,楽器を弾くことも楽しいし,ここには読み切れないほどの本がある。そしてなにより,わたしは無為に過ごすときのよろこびを知っている。それは遠い昔,お父さんか誰かに教えてもらったもの,そんな気がするのだ」。(『GUNSLINGERGIRL(1)』#5)

 ◆別に時間に縛られるのがいやだなんて思ってなかったけど,PCのディスプレイには必ず右上や右下に時刻が表示されている。別に時刻を気にしなくてもいいときでも,自然と時刻は目に入ってしまう。試しに,時刻の表示を消してみた。そうしたら,少し,不安な気持ちになる自分がいた。知らないうちに,時刻に縛られていたのかも知れないと感じ出した。…だが,しばらくすると,時間は自分の心のなかにあることに気付いてきた。よし,これで,自分の時間で生きていける。◆「なにをするにも,決して時計をみてはいけない」。エジソンが,子どもたちに忠告として述べた言葉だ。時計をみることで,いましていることを妨げてはいけない,と云う意味だと思う。いまわたしは,もう一度その忠告を,真摯に受け止めたいと思うのだ。



 
[2005.02.04]
  スカイプの理由?


 ▼ビジネスユーザーの心を捉える無料電話ソフト(ITmedai News)
  http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0501/28/news084.html


 マックOS Xとリナックスでも正式版となったスカイプ(Impress INTERNET Watchの記事)。普及できる下地のわけは?

quote:インターネット電話ソフトのスカイプが,ビジネスマンなどに浸透し始めている。遠隔地とのコミュニケーションを増やせて,コスト削減にもなる。現在約2300万人がスカイプを利用しており,2008年までに1億4000万〜2億4500万人に増加する見通しだ。

 「なぜビデオチャットは普及しないのに音声チャットは普及するのか,それが問題だ」「唐突だな」「携帯電話でのテレビ電話機能も最初の物珍しさだけで終わっている」「ものすごい勢いで決めつけるなぁ。使っている人もいるんぢゃないか? どっかに」「キミがiChat AVが発表されたときに買ったiSightはどーなってるかね」「あー,まぁ使ってないな」「そういうものだよ。よっぽど使わなきゃいけない強迫観念があるか物珍しさがない限りはビデオチャットなんて使わない。テキストかスカイプのような音声チャットで十分なんだよ」「だから決めつけるなって」。

 「理由を考えたので教えてあげよう」「自分でネタ振りしといて頼んでもないことを話し出すなよ」「人間にはPS(パーソナルスペース)という領域があるのは知ってるね」「ああ,人が近づいてきたときに嫌だと感じる領域だろ。恋人とか以外はできるだけそのPSには人を入れないようにする」「そう。一般的には自分の片腕の長さの領域がPSになると云われる。つまり手の届く範囲以内にほかの人が入ってくるのは嫌なものなのだ。で,ビデオチャットでも人の顔がそこにあると云うことでPSの論理は有効になる。おおむね相手の顔が映っているディスプレイは自分の手の届く内側にあるからね」「音声のみだとそれは感じないってことか?」「声でそれを感じてたら電話の受話器なんて持てないだろ」「でもそれだとパソコンで再生している動画に人が映ってるだけでPSが働かないか」「そんなのは写真集の写真のなかのゆうこりんみたいなものだ。双方が意識できることがない。そういうことにしよう」「なんか結論を先に考えたような話だな」「論理とは常にそんなもんだ」「テキトーなこと云うなよ」。



 
[2005.02.02]
  ネオ・アースへ


 ▼Dutch turn town into supercomputer(The Register)【英語】
  http://www.theregister.co.uk/2005/01/31/dutch_supercomputer/


 個にこだわって創造もできなかった地球が,ネットワークによって創られる。共有によって,グリッドによって。

quote:オランダのアルメレ市は,光ファイバーに接続された家庭用PCをつなげてのコンピュータグリッドを構築する。グリッドとは,個々のコンピュータのCPUパワーを共有したネットワークのこと。同様のものとしては,スクリーンセーバーで電子望遠鏡のデータを分析して地球外生命体を探すSETI@homeプロジェクトがある。アルメレグリッド・プロジェクトは,医療分野などの科学的調査に使われる予定だ。

 この世界に,共有してはいけないものはひとつもない。すべては共有するために存在する。使っていないCPUパワーが共有されて有効活用される社会になることも,当然のことだ。オランダ政府環境局のページにあるように,アルメレ市は40年前には湖の底にあった街だ。過去を持っていない分,ネットワークの設置が容易な部分もあるのだろう。100Mbpsの光ファイバーによって2000以上の接続が用意されており,その台数分の端末をグリッド・ネットワークとして利用できる。回線速度が十分に余裕を持つほどあるため,それを利用した効率よい分散解析が行えるだろう。

 解析に時間と労力が必要な事柄は山とある。SETI@homeプロジェクトは,開始から1年半で50万年分のCPU稼働時間を得たと云われる。アルメレという小さな街で行われるグリッドの実験は,将来的に地球上全体にその規模を広めるためのステップのひとつでしかない。そんな,すべてが共有されてこそ維持でき,存在しえる社会で,あれは共有できないこれは共有できないなどと傀儡の戯れ言を述べている人間に,生きる価値はないのだ。すべての情報も,手元の力も,共有されるために,存在する。



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